基礎知識

インプラントの長持ちにも関係する?インプラントの上部構造とは

20.12.06

インプラントはいくつかのパーツに分かれており、上部構造という『被せ物』の部分があります。
上部構造にもいくつか種類があり特徴があるのでご紹介します。
インプラントの被せ物を選択する時に参考にしてみてくださいね。

インプラントの構造とは?

インプラントはあごの骨に埋め込んでその上に被せ物をする治療法ですが、基本的に3つ
のパーツからできています。
1つめはあごの骨に中に埋め込む『インプラント体』、2つめはインプラントの上に取り
付けられる土台の部分の『アバットメント』、3つめは歯の部分で被せ物にあたる『上部
構造』です。
上部構造の素材にもいくつか種類があるので、ご紹介しますので比較して検討してみてく
ださいね。

上部構造の種類とは?

ジルコニアセラミック

 ジルコニアセラミックとは、インプラント治療やセラミック治療に使用される素材です。

〈ジルコニアのメリット〉

・強度が強い
 ジルコニアは人工ダイヤモンドとも呼ばれ、圧倒的に硬く強度に優れています。
 また、金属と並んで比べられるほど強度が高く、前歯だけに限定せずに奥歯にも適応が
できます。
 オールセラミックと比べても割れにくい特徴があり長持ちしやすいです。

・見た目が自然で透明感がある
 そのほかには、ジルコニアセラミックはしっかりと強度のあるジルコニアの上にセラミ
ックを焼き付けるので、見た目も色は白く自然で ほかの歯の色味にあわせて、色を合
わせることができるので、審美的にも優れています。
 また、金属のように歯ぐきの境目が黒ずむこともなく、汚れも着きにくい素材なのでキ
レイに保ちやすいです。

 

・金属アレルギーの心配がない
 また、ジルコニアは体にも優しい素材です。
 銀歯は数年経ってくると少しずつ銀歯の成分が少しずつ溶けだし、歯ぐきの黒ずみの原
因や金属アレルギーを引き起こすケースもあります。
 ジルコニアセラミックは、金属を使用しないので、金属アレルギーの心配がありません。

〈デメリット〉

 ・費用の面で高くなる
ジルコニアは強度がかなりある分、被せ物を作製する時にも技術が必要になります。
また保険が適応にならないので費用面で高くなることがありますが、さまざまなメリット
もあるので比較して素材を決めてくださいね。

オールセラミック

オールセラミックもセラミックを使用しているので、ジルコニアのメリットと同じ部分も多いです。

〈メリット〉

・見た目が自然
ジルコニアセラミックと同様にセラミックなので、見た目が自然で周りの歯となじみやすいです。
・金属アレルギーの心配がない
 ジルコニアと同様にセラミックだけなので、金属アレルギーの心配がありません。
・汚れが着きにくい
 セラミックなので、傷がつきにくく、汚れが着きにくいため、時間の経過でも劣化しに
くい特徴があります。

 

〈デメリット〉

 ・急な強い力に弱い
 オールセラミックは急にかかる強い力で欠けることや割れてしまうことがあります。
 ジルコニアセラミックの場合には内側が人工ダイヤモンドで強度のある素材なので、
 オールセラミックより強度があり、欠けることや割れてしまうことが少ないです。

メタルボンド

被せ物の内側が金属でその上にセラミックを焼き付けている素材です。

 

〈メリット〉

・ジルコニアやオールセラミックに比べて費用が安い
 セラミックを焼き付けているので、経年変化で変色しにくい特徴があります。
 ほかのセラミックのジルコニアやオールセラミックと比べると費用を抑えることができ
ます。
・内側が金属なので、接着しやすい
 オールセラミックは内側がツルツルした素材で、近年改善されてきていますが、金属は
接着するセメントと相性が良いことがあります。

〈デメリット〉

・金属を使用しているので金属アレルギーのリスクがある
 内側に金属を使用しているので、数年経過すると少しずつ金属が溶けだすので金属アレ
ルギーのリスクがあります。
・歯ぐきが黒ずむことがある
 歯ぐきとメタルボンドの境目が長い期間をかけて、歯ぐきの黒ずみの原因になることが
あります。

ハイブリットセラミック

ハイブリットセラミックはセラミックと歯科用プラスチックを混ぜた素材の被せ物です。

〈メリット〉

・費用を抑えることができる
プラスチックとセラミックを混ぜているので、ほかのセラミックに比べて費用を抑えるこ
とができます。

〈デメリット〉

・経年変化で少しずつ黄ばんでしまうことがある
プラスチックを混ぜているので、経年変化で少しずつ黄ばんだように変色していくこ
とがあります。
・プラスチックが少しずつすり減る
プラスチックを含んでいるので、かんでいると少しずつすり減ることがあり、使用し
ているとかみ合わせが変わってバランスが悪くなってしまうこともあります。
 ハイブリットセラミックは費用を抑えることができますが、インプラントに使用するに
はかみ合わせが変わってしまう可能性があるので、かみ合わせが重要なインプラントに
おいては使用されないことが多いです。

被せ物の素材で使用年数に差がでる?

 

被せ物の素材にも特徴があり、ハイブリットセラミックはかみ合わせの耐久性に不安があるため、セラミックを使用すると安心でしょう。
その点ジルコニアセラミックやオールセラミックは耐久性や審美性の面でも長く使用できる素材といえます。
オールセラミックは少し強度の面でジルコニアに比べると少し劣る点はありますが、以前より改善されてきました。
奥歯か前歯によってもかみ合わせの負担は変わってくるので、治療する場所によって素材を検討してくださいね。
また、素材も大切ですが、インプラントはその後の生活によって良い状態で長持ちできるかが決まってきます。
汚れが着いている環境がインプラントトラブルの『インプラント周囲炎』になることがあるのでしっかりケアしましょう。
毎日の自宅でのケアをしっかり行って汚れのないお口の環境をキープしていきましょう。
また、定期的に歯科医院でケアを行うことで、クリーニングでしっかり汚れを落とせますし、不具合になる前に対処ができます。
インプラントの上部構造にはいくつか種類があるので、特徴を比較して選んでくださいね。
インプラントは長く使用できるものなので、快適に使用できるものを選んでいただくと治療の満足度も上がるといわれています。
インプラント治療前にどのような素材があるか確認しておくと安心ですね。