基礎知識

インプラント1回法と2回法の治療の流れと長所・短所とは

21.01.14

インプラントオペには手術の回数に応じて1回法と2回法という手術方法があります。
どちらの手術方法で行っても手術後の仕上がりには違いはありません。
手術方法は患者様のお口の状況や骨の厚みや高さなどを考慮して判断していきます。
それでは1回法と2回法の治療の流れはどの様になっているのでしょうか。
メリット・デメリットと合わせてご紹介しますので参考にしてみてくださいね。

インプラント1回法の治療の手順

インプラント1回法はその名の通り、1度だけインプラントオペを行う治療法です。
その方法は、インプラントをあごの骨に埋め込む時にインプラントの蓋の役割をする『ア
バットメント』を歯ぐきの上に出して、インプラントがあごの骨にしっかりと固定するの
を待ちます。
骨に定着したのを確認して、被せ物の型取りをして人工歯をつけていきます。
インプラントオペが1回だけなので、歯ぐきの切開をする必要もなく患者様の体の負担が
少ないことが特徴です。

STEP1 表面麻酔をして麻酔の痛みがないようにしてから、局所麻酔をして歯ぐきを切開
します。
そして、インプラントを埋め込むための穴をドリルで開けていくので、インプラ
ントの太さや長さ応じてドリルで削っていきます。
STEP2 ドリルした部分にインプラントを入れてあごの骨に埋め込んでいきます。
    この時にインプラントの上のアバットメントを歯ぐきの上に出していきます。
    〈この時、インプラントオペから骨が定着するまでの間は仮のアバットメントで対応することもあります。〉
STEP3 あごの骨と結合期間でしっかりとあごの骨に定着するまで待ちます。
    〈あごの骨の状態にもよりますが、およそ3~6カ月程度おきます。〉
STEP4 インプラントがしっかり定着したら型取りをして被せ物をつけていきます。
    インプラントは強く当たると負担になってしまうことがあるのでかみ合わせを念入りに調整していきます。

インプラント1回法の長所

インプラントオペが1回で良いので、歯ぐきの切開を1度で済ますことができて体の負担
が少ない。
2回法で行う場合よりインプラントオペをしてから被せ物が入るまでの治療期間が短く
、治療回数も少ない。

インプラント1回法の短所

骨の量が十分にあることが条件になってくるため、骨の厚みや量が十分でない場合には
1回法を適応することができない。
歯ぐきの上にアバットメントが出ているので、骨移植をした場合など感染リスクが高く
なってしまう。

インプラント1回法のインプラントの種類

インプラントの種類は、インプラントと土台がつながっている1ピース型とインプラント
とインプラントと土台の部分が分かれている2ピース型があります。
1ピース型は1回法に使用されますが、2ピース型は1回法でも2回法でも使用できます。

〇1ピース型の長所

 ・2ピースより部品が少なく、簡単な構造のため、費用を抑えることができる。
 ・インプラントに直接被せ物をするので、工程が簡単で治療期間が短くすることができ
る。

〇1ピース型の短所

 ・骨の量が少ない場合に角度をつけてアバットメントで調整することができない。
 ・土台のアバットメントに不具合があった場合でもアバットメントだけでなく、インプラントごと治療する必要がある。
2ピース型はインプラントとアバットメントをねじで連結するタイプです。部品のパーツは2つあります。

〇2ピース型の長所

・お口の状況に応じて数種類の中からアバットメントを選ぶことができるので、アバット
メントに合わせて被せ物の形を変えることができる。
・アバットメントを自由に選べるので、審美性の面を考慮したい場合もあごの骨がやせて
いる方もほとんどのケースで使用ができる。

〇2ピース型の短所

・1ピースより部品のパーツが多いので、少し費用が高くなってしまう。
・被せ物が入るまでの工程が1ピース型より多いので1ピース型に比べて治療に時間がかか
る。
・アバットメントをつけたあとにねじが緩んでしまうことがある。
1ピース型と2ピース型を比べるとお口の環境が変化した時にも対応ができるのは2ピー
ス型です。

インプラント2回法の治療の手順

1回目のインプラントオペの後にインプラントは完全に粘膜の下に覆われます。
インプラントをあごの骨に埋め込むまでの手順は1回法と変わりませんがその後の手順に
違いがあります。

STEP1 麻酔をして歯ぐきを切開し、インプラントの長さや太さに合わせてドリルで削っていきます。
この時、インプラントにはカバースクリューという蓋をして歯ぐきの中で定着を待つので歯ぐきを縫合します。
STEP2  あごの骨との定着期間でインプラントが定着するまで骨の中で待ちます。
     (あごの骨の状態にもよりますが、3~6カ月程度おきます。)
STEP3  インプラントとあごの骨が定着したら、歯ぐきを切開してアバットメントを連結させていきます。その後歯ぐきが治るまで待つ期間があります。
STEP4  歯ぐきが落ち着いてから、被せ物の型取りをして被せ物を作製していきます。
     被せ物をしてかみ合わせを念入りに調整します。

インプラント2回法の長所

・歯ぐきを縫合して、歯ぐきの中で定着を待つので感染のリスクが少ない。
・インプラントが適応になる場合、ほとんどの症例が2回法で手術することが可能です。

インプラント2回法の短所

・歯ぐきを2回切開するので、負担はありますが、局所麻酔をして痛みが出ないようにし
ていきます。
・1回法と比べると歯ぐきを切開して、治癒を待つ期間があるので治療期間が長くなる。

1回法と2回法の違い

1回法と2回法の大きな違いは、あごの骨に結合するまでの期間歯ぐきの中で待つか歯ぐ

の上で土台を出して定着を待つかで変わってきます。
1回法は治療期間や治療回数を減らすことができるのですが、インプラントの定着を待っ
ている間に歯ぐきの外に出ているので、インプラントに力がかかってしまうことがありま
す。

患者様のお口の状況や骨の状態によって治療方法も変わってきます。
どちらの治療もメリット・デメリットが存在するので、患者様にあった治療方法を選択す
ることで安心してインプラント治療ができます。
治療のデメリットは治療計画の時に疑問を解消して定期的なメインテナンスを受けること
で解消できる部分もあります。
インプラントで快適なお口の環境を手に入れましょう。