インプラントコラム
COLUMN
インプラントも虫歯になる?ケア不足で起きるトラブルとは
21.12.21
インプラントは歯を失った時の治療の中で、しっかりとかむことができて自然な見た目を手に入れることができます。
インプラントはメリットの多い治療ですが、虫歯になるか気になる方もいるのではないでしょうか。
そこで今回はインプラントと虫歯の関係とケア不足で起きるトラブルについて詳しく解説させていただきます。
インプラントも虫歯になる?
インプラントって何?
インプラントは歯を失ったあごの骨の部分に人工の歯根(インプラント体)を埋め込み、その上に被せ物をする治療です。
歯を失った時の選択肢は「ブリッチ」「入れ歯」「インプラント」があるのですが、ほかの治療は単独で治療をすることができません。
ブリッチは隣り合う歯を削って橋渡しをするので、左右の歯の寿命を縮めてしまうことがあります。
また、部分入れ歯の場合にはばねを支える歯に負担がかかります。
インプラントはその部分だけで治療ができるのでほかの歯にダメージを与えることなく周囲の歯を長持ちさせることができます。
そして、あごの骨に埋め込むので安定感が良く、自分の歯のようにしっかり咬むことができます。
また、セラミックを使用できるので見た目も自然でほかの歯に良くなじみます。
メリットの多いインプラントですが、基本的に保険ではなく自費治療なので費用が高くなることがあります。
ただ、分割で支払えますし、医療費控除の対象になるので費用の負担を抑えることができます。
インプラントも虫歯になる?
インプラントは人工の歯根と被せ物を使用しているので、せっかく治療した部分が虫歯になる心配はありません。
ただ、歯磨きが十分でないとインプラントのトラブルが起きることがあります。
インプラントのトラブルにつながりやすいインプラント周囲炎についてお話します。
インプラント周囲炎にはなる
インプラント治療後に汚れが着いたままになると、歯周病に似た「インプラント周囲炎」を引きおこします。
インプラント周囲炎は、汚れの中の細菌が原因で歯ぐきに炎症を起こし、進行してくるとあごの骨が少しずつ減少します。
インプラントはあごの骨で支えているので、支えが減ってくるとインプラントがグラグラしてインプラントが抜け落ちてしまうこともあります。
また、インプラントは天然歯と構造が違い、根を支えている「歯根膜」というクッションの役割をした膜がありません。
そのため、細菌の影響を受けやすくインプラント周囲炎になると早いスピードで進行します。
メインテナンスの重要性
インプラントは、毎日のケアが不十分だとインプラント周囲炎になりますし、インプラントが長持ちしないことにもつながります。
インプラントを長く良い状態で使い続けるために「毎日のケア」と「定期的なメインテナンス」が大切です。
インプラント手術後のセルフケア
歯みがきの仕方
インプラントの手術後は、特に歯ぐきの境目に汚れが残りやすいので、境目に対して45度位に角度をつけて細かく動かしましょう。力が強くなると歯ぐきに負担がかかるので、鉛筆を持つようにして磨きましょう。
この持ち方だと力を分散させることができて、歯ぐきにダメージを与える可能性が少ないです。
うがいの仕方
インプラントの手術直後はうがいをする時も注意が必要です。ぶくぶく強くうがいをすると、傷口が治りにくくなります。
うがい薬が処方されている場合には優しくうがいしましょう。
セルフケアで使えるデンタル用品
デンタルフロス
歯と歯の間は汚れが残りやすく磨きにくい部分です。歯ブラシだけでは磨き残しが出やすいので、デンタルフロスで汚れを落とすと歯と歯の間の汚れに効果的です。
歯間ブラシ
歯と歯の隙間が大きい場合には、デンタルフロスより歯間ブラシの方が汚れを落としやすいです。
歯間ブラシはいくつかサイズがあり、歯ぐきに合わないサイズを使用すると歯ぐきを傷つけるので小さいサイズから使用しましょう。メインテナンスでは、患者様に合ったサイズの歯間ブラシも提案できますので、サイズに迷ったらご相談ください。
タフトブラシ
普通の歯ブラシは何列か毛束がありますが、タフトブラシは毛先が1列だけなので、細かい部分の汚れを落とすのに最適です。
タフトブラシは歯並びの悪い所、奥歯の最後の部分、被せ物の周りの汚れを落としやすいです。
メインテナンスですること
1 レントゲン撮影
レントゲンを撮影してあごの骨やインプラントの状態を確認します。
インプラント周辺に骨の吸収が起きていないか、痛みがないかも確認します。
また、歯ぐきに炎症や膿がないか、歯周ポケットが深くなっていないかもチェックしていきます。
2 かみ合わせのチェック
インプラントは強く当たると不具合の原因になるので、かみ合わせを確認します。
被せ物を入れた時にかみ合わせを確認していますが、日々の生活の中で少しずつ変化することがあります。
そうすると、インプラントに力がかかり過ぎることがあるので、かみ合わせが強い場合には、被せ物を調整します。
また、日常的に歯ぎしりや食いしばりがある場合には、マウスピースを作製して強い力がかかることを防ぎます。
3 お口は清潔に保てているか
インプラントに汚れが着いていると先ほどお話したように、インプラント周囲炎になるリスクが高くなるのでお口の中が清潔に保てているか確認します。
汚れが着きやすい部分は、インプラントと被せ物の境目や被せ物と隣の歯との間です。
この部分も含めてチェックをして、汚れが着いている部分は患者様に確認してもらい、その部分の汚れの落とし方もお話します。
4 クリーニング
クリーニングは専用の機械を使用してプラークや歯石を除去します。
そして、汚れが着きにくいように機械で磨いていきます。こちらは歯の表面について歯磨きでは落とし切れないバイオフィルムを除去していきます。
バイオフィルムには多くの細菌がいるので、落とすことでインプラント周囲炎の予防ができます。
まとめ
インプラントは虫歯になることはありません。
ただし、ケアが不十分で汚れが残っているとインプラントトラブルの「インプラント周囲炎」になります。
そうならないために毎日のセルフケアが大切ですが、苦手な部分は磨き残しが残ってしまうこともあるので、定期的なメインテナンスを受けましょう。
インプラントを良い状態で長持ちさせるために、毎日のセルフケアと定期的なメインテナンスが大切です。