インプラントコラム
COLUMN
インプラントで金属アレルギーが心配?そんな時に受けると安心なパッチテストとは
22.07.31
インプラントで金属アレルギーが心配?そんな時に受けると安心なパッチテストとは
「アレルギーがあるけれど、インプラントの治療はできるの?」
アレルギーにもさまざまなものがあり、アレルギー体質の方はどのようなものでアレルギーが出るか心配な方もいると思います。
インプラントに使用している金属は、金属の中でもアレルギー反応が少ない素材を使用しているので、金属アレルギーの症状が出ることは少ないですが、インプラントを埋め込むと簡単に除去することは難しいため、事前に確認しておくと安心です。
そこで今回はインプラント治療前に行っておくと安心なパッチテストについて詳しくご紹介します。
金属アレルギーでもインプラントできる?
金属にも色々な種類があり、身体に優しくアレルギー反応が出にくい金属もあり、インプラントは金属アレルギーの心配が少ない「チタン」という素材を使用しています。
アレルギー反応が少ないといわれていますが、金属アレルギーの可能性が心配な方は、インプラント手術前にアレルギー反応が出るか確認しておきましょう。
パッチテストを行いましょう
インプラント手術をする方は事前に「パッチテスト」を行うことをおすすめしています。
インプラントに使用している「チタン」は金属アレルギーをおこす可能性は低く、歯科だけでなく、心臓ペースメーカーや人工関節などに広く使用されている安全性の高い素材ですが、可能性はゼロではありません。
インプラントはあごの骨に定着させてその部分を歯の根の変わりとして使用するため、金属アレルギーが分かった場合には撤去しなければいけない場合があります。
そのようなリスクを避けるために、事前に確認しておくと安心です。
皮膚科でパッチテストを受けることができ、数日間金属の成分を含むパッチを貼ってアレルギー反応が出ないかチェックします。
金属アレルギーが起きる原因とは?
金属アレルギーの仕組み
金属アレルギーは、金属の成分が少しずつ溶け出し、その金属がイオン化して体内のタンパク質と結びついて、体内の許容量がいっぱいになってしまった時に金属にアレルギー反応を引き起こします。
どの程度で許容量を超えるかは、個人差があります。
そのため、金属を入れてすぐ反応が出る人もいますが、今まで金属に反応をしていなかった人でも数年経過してから金属アレルギーを発症することもあります。
ただし、金属にはさまざまな種類があり、全ての金属にアレルギーが発症しやすいわけではありません。
金属アレルギーを発症しやすい金属もありますので、解説します。
金属アレルギーを引き起こしやすい金属
金属の成分が溶け出しやすいものが金属アレルギーを引き起こしやすいといえます。
・コバルト
コバルトはリチウム電池の材料として使われています。
・ニッケル
アクセサリーなどに使用されて、最も多く金属アレルギーを発症しやすいといわれています。
・水銀
水銀も電池の材料として使われることがあります。
公害でも有名な水銀ですが、2020年から水銀を使用している商品の輸出が禁止されていることから歯科で使用されることはありません。
金属アレルギーが起きた時の3つの症状とは?
金属アレルギーがあっても、アクセサリーをつけた時にかゆみが出るなどの軽度の場合にはアクセサリーを取り外すことで症状が改善します。
しかし、金属アレルギーの方が歯科治療で銀歯などを入れると、お口の中にある時には取り外しができないため、症状が出たまま改善しないことが多くなります。
歯科の金属アレルギーの症状は個人差があり、お口周辺に口内炎ができる場合には金属アレルギーが特定されやすいですが、身体に症状が出るケースは金属アレルギーが特定されにくいです。
- お口の中の症状
唇や舌、歯ぐきや頬に赤みなどの炎症や白いレース状のものができることがあります。
治療法はステロイドの軟膏を塗布すること、ビタミン剤を服用することで対処します。
腫れが小さい時には、レーザーを照射して治療することもあります。
- 皮膚の症状
一般的に手や足の裏などに出やすいですが、皮膚に小さな水疱ができ、膿を持った水疱を現れることがあります。
症状としてはかゆみが出ることが多く、治療法はお口の中の症状と同様にステロイド剤を塗布して、ビタミン剤を内服することが多くなります。
- 全身の症状
初期の症状に多く、全身のさまざまなところに発疹が出ることがあります。
口の周りとは限らず、手や足、背中やお腹などに出ることがあるため、口腔内が原因の金属アレルギーと気づかないことがあります。
金属アレルギーの場合にはチタンを
チタンは金属ですが、ほかの金属に比べて熱や水分で溶けにくく、その性質上医療の現場でも使用されています。
整形外科では、人工関節や骨折をした時の固定用のねじ、プレートなどが使われています。
また、心臓の手術の時に使用する心臓ペースメーカーにもチタンが使用されていて、安全性が高いと考えられています。
チタンの性質とは?
1 チタンは骨となじみやすい
チタンは骨を作る成分とよく似た性質を持っているため、生体親和性がよいといわれ、骨となじみやすいといわれています。
この性質から、骨の組織と同じ役割をして骨と結合するのです。
2 チタンは溶けにくい
チタンの表面は強力な酸化物で覆われているので、溶けにくい性質があります。
この性質から唾液や汗などでも金属が溶け出しにくく、金属アレルギーの心配が少ないとされています。
同じ性質の金属はクロム・アルミニウム・ニオブなどがあります。
インプラントで使用されている素材は金属アレルギーの心配が少ない「チタン」が使用されていますが、インプラント手術前に様々なリスクを想定してパッチテストをして金属アレルギーがないか確認しておくと安心です。
パッチテストは皮膚科で行うことができ、パッチを貼って経過を見るだけなので、痛みや負担も少ない方法です。
当院ではパッチテスト以外にもインプラント治療前にCTやレントゲンなどで精密に検査をしてから治療計画を立ててインプラント治療を行っています。
インプラントで心配や不安なことがあって、治療を迷っている方はぜひ1度ご相談ください。