インプラントコラム
COLUMN
インプラント治療ができない疾患があるの?対処することで可能な場合とは
22.08.29
インプラントはメリットが多い治療で、多くの歯科医院で普及しつつある治療ですが、患者様の状態や疾患によっては治療が難しいこともあります。
ただ、対処することで治療ができるようになるケースもありますので、必ずインプラントができないケースばかりではありません。
そこで今回は、インプラント治療が不適応な疾患や難しいケースと対応することで治療が可能になるケースについて詳しく解説いたします。
【インプラントが難しい疾患】
・白血病
インプラントは、1本だと親知らずの抜歯と同程度の負担のケースもある治療で、それほど負担が多くない治療ですが、インプラントを埋入する時に出血を伴います。
白血病は出血が止まりにくくなるため、出血を伴うインプラント手術を行いません。
・心筋梗塞・脳梗塞・脳卒中を起こしてから6カ月以内
心筋梗塞や脳梗塞、脳卒中の疾患から6カ月以内は血液をサラサラにするお薬を服用していることが多く、出血すると出血が止まりにくくなりやすい状態です。
また、身体に負担がかかっていることも多く、免疫力が低下していることも考えられます。
そのため、これらの疾患を起こしてから6カ月以内はインプラント手術を行わずに体調が整ってからインプラント治療をスタートします。
・1型糖尿病で血糖がコントロールできていない
糖尿病は免疫が低下してさまざまな合併症を引き起こす病気です。
そのため、血糖がコントロールできていないと免疫力が低下しているため、インプラントの顎の骨の定着や治癒に多くの影響を与えてしまいます。
1型糖尿病で血糖コントロールができていない重度の糖尿病の場合には、インプラント手術が難しい場合があります。
ただし、症状が安定していて、血糖コントロールができており主治医の許可がある場合にはインプラント手術ができるケースもあります。
全ての糖尿病の方のインプラント手術が難しいわけではありませんので、まずはご相談ください。
【疾患以外にインプラント手術ができないケース】
・20歳未満の方
顎の成長は20歳くらいまでは続いているため、インプラントは顎の骨に埋め込む治療なので、成長によってインプラントが動いてしまう可能性がある20歳未満の方はインプラントを行うことができません。
歯科医院によってインプラントが可能な年齢が少し変わる場合がありますが、18~20歳以上に設定されていることが多いです。
・妊娠中の方
妊娠中は赤ちゃんの影響を考えて、できる限り負担の少ない治療を行っています。
インプラント治療を行う場合にはレントゲン撮影やCT撮影、麻酔をして薬を服用することがあります。
これらは、安全性が確認されていますが、赤ちゃんに対する影響がゼロとは言い切れません。
そのため、妊娠期間中はインプラント治療を開始することは避けて、無理のない時期からのインプラント治療をスタートしています。
【状態によってインプラントが可能になる疾患】
・骨粗鬆症
骨粗鬆症になると、骨がもろくなりインプラントを埋入することが難しくなってしまいます。
ただし、インプラント手術を行う前に骨再生療法などを行って骨を増やすことで治療を行うことが可能なケースが多くなります。
しかし、骨粗鬆症の薬の中でビスホスホネート製剤を使用している場合には、骨が壊死してしまう可能性があるため、インプラント治療を行うことができません。
・糖尿病で血糖がコントロールされている方
糖尿病で血糖コントロールができている場合には、インプラント治療を行うことができます。
その際には、インプラント周囲炎のリスクが高くなるため、一般的なインプラント治療に比べて口腔内を清潔に保つ必要があります。
糖尿病の方は歯周病になりやすく、糖尿病が悪化すると歯周病も進行しやすいことが分かっています。
さらに、糖尿病が改善すると歯周病が改善傾向にあるという相互関係も研究によって分かってきています。
免疫力が低下する糖尿病は汚れがついたままだと患ってしまう「インプラント周囲炎」になると進行しやすいため、毎日のセルフケアと定期的なメインテナンスが欠かせません。
・顎の骨が減少している
歯周病や加齢などで顎の骨は少しずつ減少してしまう傾向にあります。
そのままではインプラントを支える部分が足りないため、インプラント手術ができません。
ただし、顎の骨を再生する骨移植や骨再生療法を行うことによって顎の骨が回復できればインプラント手術を行うことが可能です。
・歯ぎしりや食いしばりがある方
インプラントは力がかかり過ぎてしまうと、インプラント体や顎の骨に負担がかかってしまうため、かみ合わせが適切なことが大切です。
ただし、寝ている時の歯ぎしりや日中のストレスで食いしばりがある場合には、強い力がかかってしまうことがあります。
日中の食いしばりは意識することで改善できる場合が多いですが、寝ている間は無意識のため歯ぎしりを改善することが難しいといわれています。
その場合には、就寝中に歯を守る「マウスピース」を作製してインプラントの部分やほかの歯を守ります。
マウスピースやかみ合わせをチェックすることで歯ぎしりや食いしばりがある方もインプラント治療が可能になります。
・喫煙している方
たばこを吸っていると、ニコチンの影響で血流が悪くなり、免疫力が低下して傷の治りが悪くなります。
また、たばこのヤニの影響で汚れがつきやすくなり、インプラント周囲炎のリスクも高くなります。
喫煙している方はインプラントの寿命を縮めてしまう可能性もあることから、禁煙をすることが望ましいと考えられています。
白血病や脳血管疾患から6カ月以内などインプラント治療をするためには難しい場合もありますが、妊娠中や20未満の方などその期間を避けることで治療が可能な場合もあります。
また、骨の量が少ない場合も骨移植や骨再生療法を行うことによってインプラント治療が可能になることもあります。
インプラントが難しい場合でも対応することでインプラント治療が可能になることもありますので、他院で断られたことがある方でもまずは1度ご相談ください。